著:田村由美
あらすじ
主人公は天然パーマで観察眼の鋭い「久能 整(くのう ととのう)」。
冬のあるカレー日和。
自宅のアパートで整がタマネギをザク切りしていると警察官がやってきて、突然の任意
同行を求められます。
近隣で起こった殺人事件の容疑をかけられ、次々に容疑を裏付ける証拠を突きつけられ
た整は…。
感想
マイペースな語り、思考、着眼点がクセになるマンガです。
起こる出来事に目新しいことはないのですが、登場人物にむける整の言葉に惹きつけら
れます。
普段、モヤモヤと感じてることや、
常識としてとらえていても、説明できないことなどがサラリと語られていたり、
目からウロコの視点で語られていたりしていて、とても興味深く読み進めてしまいます。
例えば、結婚あるある上位を占めるんじゃ?というようなよくある愚痴。
妊娠中の奥さんと喧嘩中の、若手刑事が言うんですよ。
ほんと「あるある」ですよね。
個人的には「ゴミ捨て場にゴミを捨てに行く俺エライ!」感が出ているところまで、あるあるだわと感じます。
すると、すかさず整君が言うのです。
刑事:どこから?いや、だからうちからゴミ捨て場まで…
整君:おたくに、ゴミ箱はいくつあります?
刑事:はぁ…?えーっと… 2 …あれ 3 ?
と、質問の意図、ゴミ箱の数もわからない若手刑事に続ける整君の言葉は
それな!
なのです。
日々の暮らしの中で「名前のない家事」は意外と多くて、一人暮らしをしていなかった
り、母親がひとりでやりきってしまう家庭で育つと「見えない労働」って結構あるんで
すよね。
それがひとつ、解消されたり理解してもらえると全然心持ちが変わります。
ちなみに若手刑事は、後日、家のゴミ箱の数をきちんと把握します。
素直に改善する性根のいい子です。
「BASARA」や「7SEEDS」のような派手さは無いのですが、
日々の「あるある(もやもや?)」が静かに、冷静に、でも小気味よく表現されていて
ひと味もふた味も違う「ミステリ」が仕上がっています。
現在3巻まで発売中。
まき込まれ感が半端ないですが、どの巻もハズレなしに面白かったです。
3巻、事件のすごい山場で終わっているので
2月8日発売の4巻が、とてもとても楽しみです。