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『徒然綴り』

ゲームや読書、お絵描きを好む超インドア派が書くブログ

【残穢】静かに、身近に、ひっそり佇む「怖さ」



残穢(ざんえ) (新潮文庫)

著:小野不由美

 

あらすじ

 

「この家は、どこか可怪(おか)しい。」

 

転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配がする……。

何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうちにある因縁が浮かび上がってくる。

 

かつて、ここでむかえた最期とは、怨みを伴う死は「穢(けが)れ」となり、伝播する…

山本周五郎賞受賞、ドキュメンタリー・ホラー長編。

 

残穢(ざんえ) (新潮文庫)

残穢(ざんえ) (新潮文庫)

 

 

 

感想

 

あるマンションの一室で起こる怪異現象の原因を辿っていくうちに

浮かび上がってくる因縁。

伝染する「穢れ」がドキュメンタリータッチで描かれています。

 

ドキュメンタリータッチなので、終始淡々と進んで行き派手な怖さはありません。

が、それが逆にリアリティを増すようで、じんわりと怖い。

そんな印象です。

 

正直、前半から中盤の経過報告を読んでいるような

淡々とした内容に何度も眠気に襲われたのですが

 

だんだんと因縁が明らかにされていくにつれ、

「穢れ」の元と質に何とも言えない、気持ち悪さ?不安?のようなものが

背筋をはって寒気をもたらしてくるような内容に

その穢れの原因は何なのか、自分の中で白黒をつけたくて一気に読み終えた感じです。

  

この本の怖いところは、派手な驚きや恐怖ではなく、

「私も触れてしまうことがあるかもしれない」という、

読後いつまでも頭の片隅に残ってしまうような、

もう手に持っている「本」じたいが気持ち悪くなってくる類の怖さ。

 

古くから伝播された穢れが日常にひっそりと潜んでいるの

かと思うとなんともぞっとしてくる…

 

そんな読了感をもたらす一冊でした。 

 

 

後日、映画を見た話

 

プライムビデオで見つけたので観てみました。

原作ほどの、じわじわと背筋を這うような気味の悪い恐怖は感じませんでしたが、状況が見える分 わかりやすく、見えるからこその怖さはありました。

 

原作とは違った部分もあって、その違いを感じつつ観ていたのですが

ひとつの心霊現象から、どんどんと過去聞いた話に繋がり穢れが伝染してる様が

こちらの方が、よりわかりやすく、強く表現されていたと思います。

 

最後の展開が、原作をは違い映画らしい脚色でした。

あの机の下の顔には、夜中見ていただけにゾクリとさせられました、怖すぎ。