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『徒然綴り』

ゲームや読書、お絵描きを好む超インドア派が書くブログ

【海が見える家】父の訃報から始まった一夏の物語



海が見える家 (小学館文庫)

著:はらだみずき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

父親と疎遠になっていた青年「文哉(ふみや)」が

就職難で焦って入った会社はブラックで、1ヶ月も経たずに退社。

そんな時に、1本の電話で父の訃報を知ります。

 

親元を離れてから初めて行った父の引越し先で知る父は

「自分が見てきた父」とはイメージが違っていて

父が何を想い、何をして、どう過ごしていたのかを遺品整理をしながら知っていきます。

 

そして、文哉は少しづつ自分を見つめ直していき…。

 

 

感想

 

始まりはブラック企業での理不尽な対応に辟易し

疲れ切った文哉が、ひとつき程で退職したところに入った訃報の知らせ。

 

そこから、苦手意識のある父の元へ訪れることになるのですが

そこでは「自分の知らない父」が存在していて

 

文哉はそのギャップに触れることで「知らなかった父」に興味を持ち始めます。

一夏で知る「本来の父の姿」「父の想い」「父の過去」。

 

それによって、自分を見つめ直す文哉が

緩やかに、でも確実に前進する姿が自然に描かれていて

激しさはないけれど、じんわりと心に沁みるような

 

人生は、こんな風に細やかなきっかけが

分岐点なんだろうなと自分に照らし合わせてみたり、

 

軌道修正も、方向転換も、自分に誠実になれば

できないことじゃないよなぁと感じてみたり、

 

初めてこの方の作品を読みましたが、

静かな中にも起伏があって、とても読みやすかったです。

 

本当に人生の一幕を書き記しているイメージなので

人によってはサラリとしすぎていると感じるかも?と思わなくもありませんが

静かにに寄り添う感じが個人的には好ましかったです。

 

 

欲を言えば、文哉の姉にスポットを当てたお話が読んでみたいなと思いました。

婚約者に逃げられた経験を持つ彼女が

夢を追いかけながら頑張る姿、そこで出会った男性に対する想い。

 

父の訃報を受けて手に入ったお金が彼女に与える影響等々、

弟に勝るとも劣らないドラマがありそう。

 

そんなところも含めて

人生ってままならないけど、なんとかなるよなと思える作品でした。

 

 

 

海が見える家 (小学館文庫)

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