【ピアノの森】アニメ1期終了に伴って原作と比較してみる
著:一色まこと
あらすじ
森のピアノは、その少年を待っていた――。
捨て去られたピアノ。壊れて音の出ないピアノ。
いま、ひとりの少年の選ばれた指が、失われた音を呼び覚ます。
少年の名は一ノ瀬海(いちのせかい)。彼は心に深く豊かな森を抱えていた。
本 感想
1人の天才少年がピアニストとして成長する半生を、全26巻で描いたもので
幼少期を描いた1部(1〜7巻)、青年期を描いた(8〜最終巻)で構成されています。
主人公「一ノ瀬 海(いちのせ かい)」は「森の端(もりのはた)」で生まれ育つのですが、そこは、田舎の風俗街(?)のような場所でガラの悪さから恐れられ、それと同時に蔑まれる場所で、彼の母親の玲子はそこで娼婦をしています。
その影響と綺麗な顔立ちのせいもあって、彼自身も男に犯されそうになったり、殴られたり危険な目にあうこともありますが、どんな時も家の裏の森に捨てられたピアノを弾き母親と寄り添って前向きに生きています。
そんな彼が小学校5年生の時に、現役ピアニストの息子「雨宮 」が転校してくることで、ピアニストとしての人生が動き出すわけなのですが、カイのピアノ人生に加え、彼の初めての恋だったり、周りの人間模様も魅力的な作品です。
個人的には、ピアニスト生命を絶たれたと同時に最愛の人も亡くした『元天才ピアニスト阿字野壮介』がカイと出会って、活力を取り戻していく件はカイとの関係性も含めてとても興味深かったです。
26巻と長い作品ですが、中だるみすることなく描かれているので、「何度でも手に取りたくなる」そんな作品です。
アニメ 1期(全12話)
原作の雨宮との出会いから青年期「ショパンコンクール」途中までが描かれています。
ストーリーも原作に沿っているので、原作を読んだ後でも違和感なく楽しめる流れだと思います。
何より登場する各ピアニストに、豪華なピアニスト勢が実際に、指の動きから体の動きからをリンクさせている演奏部分はとても魅力的でした。
素敵な世界観が出来上がっています。
ピアノ全部聴きたいのに、端折られる部分も多いなぁと思っていたらキチンとコレクションを出してくれたので嬉しい限りです。
本・アニメ比較
登場人物の背景に重きを置いて、それぞれの機微をより感じたいのなら
原作を読むべき。
カイを中心に描かれつつ、それぞれの視点で想っていること感じてること
渦巻いてる問題をより感じることができるかと思います。
アニメのように綺麗どころだけをかい摘んではいないので、森の端の描写もあって母親「レイちゃん」の一生懸命さやカイの置かれた立場、その中でピアノをやることがどれだけ難しかったのか、阿字野がどれだけ貢献し、カイを導いたのか雨宮が抱いてしまったカイへの劣等感 がどんなものか等々をより感じ、知ることができます。
でも、「クラシック」を感じたいならアニメ。
実際に音を聞いて、動きを見て感じられるのは映像の強みだと思います。
アニメからでも、原作からでもどちらが先ということはなく、どちらかを手にとって興味を得たらもう一方を手に取ると良いかと思う作品でした。
どっちも面白い。
それにつきます。
阿字野先生、最高です。
アニメは諏訪部さんなのでより最高です。
2期も楽しみにしています。